

初訓練(タキシング)
私の最初の飛行訓練は、飛行幹部候補生として航空自衛隊防府北基地にいた時でした。最初は、実際の飛行訓練ではなく、離陸直前までと、着陸後からエンジン停止までの地上における操作の練習でした。 飛行機の操作は、マニュアルに従って行われ、その項目数は、軽く100項目以上はあり、結構な数です。(ちなみに、T―1B[Aircraftページ参照]の離陸までに行われる操作手順は、細かなものも含めて304項目あります。) 訓練前までに、チェックリストを見ないで手順を行えるレベルまで練習を行ってから訓練に臨むのですが、大半の学生は、「エンジンをかけた瞬間に、そのエンジン音で頭の中が真っ白になって、その直後の手順を忘れてしまう。」と学生だったか教官だったか忘れましたがそう聞いていたので、私は、そうならないように心掛けていました。 そして、その時がやって来ました。「よし絶対忘れないぞ」という意気込みで、エンジンスタートを行い、エンジンがかかるとプロペラがもの凄い音を立てて回りだしました。そして、私は、その直後の手順を忘れずに行えました。「よしやったぞ!」と一瞬その時思いました。がしかし、それをクリアしたぞという嬉しさ余り、その次の手順を忘れてしまいました(苦笑)。 タクシングは、両足のラダ−ペダルで行いますが、最初は誘導路の真中の黄色い線の上を走るだけで手一杯でした。必死に何とか滑走路までタキシングして滑走路に入り、次は離陸滑走です。 離陸滑走は、T−3(Aircraftページ参照)のようなプロペラ機では、エンジンを全開にしてブレーキを放しただけではまっすぐ滑走してくれません。ラダーペダルを中立にしてプレーキーを放すと、プロペラの後流により急激に機首を左へ向けようとします。これを防ぐ為ブレーキを放した瞬間に、ラダーを使用して方向保持をしてやらなければなりません。また、蛇を使用して横風で機体が横方向に傾くのを防がなくてはなりません。ですが最初は機体の方向保持で手一杯で、想像以上に加速も早く、方向保持に必死になっているとあっという間に離陸速度に達しようとしていました。離陸寸前でエンジンを絞り、そこからは、着陸滑走です。飛行機のブレーキは、左足で左主輪、右足で右主輪と左右独立のブレーキとなっており、左右のブレーキを均等に踏まないと左右にフラフラして、まっすぐブレーキングできません。これも滑走路をフラフラしながらブレーキングして何とか減速し、滑走路を出て、また駐機場へタクシーバックし、今回の最後の難関ランプイン(駐機場に飛行機を止めること)です。 ランプインは、一言で言うと、定位置にまっすぐな状態で飛行機を止めればいいのですが、車と違うのは、飛行機はバックが出来ないので、定位置に飛行機を止められなかった場合は、その場から出て再度後方から飛行機を停止位置に入れ直さなければなりません。また、ランプインは、ラダーおよびブレーキング操作による微妙なスピードコントロールと方向修正が必要で、初体験の人にとっては、想像する以上に上手く出来ません。その時の私のランプインは、1回目は、思いっきりななめになった状態で、飛行機を停止させてしまい、もう1度やり直て、2回目でなんとかランプインさせました。 正味30分程度のまだ地面から車輪を付けたままの訓練でしたが、それでも汗でびしょびしょ(自衛隊時代に汗かかなくて、飛行訓練したなんて一度もなかったですが・・・)の初のエンジン付き乗り物の運転でした。
参照:
・ ラダーペダル
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